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判例タイムズ 1273号

誌名: 判例タイムズ 1273号

創刊: 判例タイムズ社
発売日: 2008年09月15日

価格: 2,000円

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雑誌紹介

「判例タイムズ」は、1948年の創刊以来、我が国を代表する判例紹介誌として、幅広い分野の法律実務家から高い評価を受けています。全国の判例情報から実用性の高いものを迅速的確に紹介しつつ、実務家・研究者と連携して時事問題を取り扱った論文・鼎談等をタイムリーに掲載しており、実務家・研究者に限らず、広く法務に携わるすべての人々必見の書です。


概要


記事紹介
◆上告審としての大阪高等裁判所第14民事部の実情(下)/小池一利
◆実務現代刑事法(その2)
創造的判例の検討を中心として(その1)/植村立郎
■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
被害者と量刑(2)/横田信之
■裁判員制度のもとにおける控訴審の在り方3〔大阪高等裁判所陪席会〕
控訴審の訴訟手続(2)/西田時弘
判例紹介
速 報
[刑 法]
1板橋高校事件控訴審判決(東京高裁平20.5.29判決)
都立高校の卒業式で,国歌斉唱時に着席するよう保護者らに呼びかけるなどした行為が,威力業務妨害罪に当たるとした1審判決を肯定した事例
最高裁判例
[憲 法]
1(最高裁第三小法廷平20.5.8決定)
婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことと憲法32条
[民 法]
2(最高裁第三小法廷平20.6.10判決)
1 社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合に,被害者からの損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額から控除することの可否
2 いわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著しく高利の貸付けの形をとって借主に金員を交付し,借主が貸付金に相当する利益を得た場合に,借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
[刑 法]
3(最高裁第一小法廷平19.12.3決定)
数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,その最も重い罪の刑は懲役刑のみであるがその他の罪に罰金刑の任意的併科の定めがあるときに,最も重い罪の懲役刑にその他の罪の罰金刑を併科することの可否
[刑事訴訟法]
4(最高裁第二小法廷平20.6.24決定)
1 訴訟関係人のする刑事確定訴訟記録法に基づく保管記録の閲覧請求が許されない場合
2 訴訟関係人がした閲覧請求が,関係者の名誉又は生活の平穏を害する行為をする目的でされたと認められる相当の理由があり,権利の濫用として許されないとされた事例
行政裁判例
[行政法一般]
1(大阪地裁平19.11.21判決)
ミャンマー旧政権につながる名家出身であることを理由に現政権から迫害を受けるおそれがあるとしてされた難民認定申請につき,そのような係累の存在が確認できないとして却下した処分には事実の誤認があるが,結論においては適法であるとされた事例
2(大阪地裁平19.10.18判決)
登記事項証明書交付の手数料を1000円と定める登記手数料令2条1項が,不動産登記法119条3項による委任の範囲を超えるものとはいえないと判断した事例
[租税法]
3(高松高裁平19.11.20判決)
集合債権譲渡担保契約の対象となった複数の債権を国税滞納処分により差し押さえ,同契約に基づく債権譲渡につき第三者に対する対抗要件を具備した日より前に法定納期限が到来している国税の不納付加算税及び延滞税に充当したことが相当とされた事例
労働裁判例
[個別的労働関係]
1(福岡高裁平19.10.25判決)
労働者の自殺につき,肉体的・心理的に過重な負担のかかる長時間労働が連日続いたことにより,うつ病に罹患したことが原因であるとして,業務と自殺との間の相当因果関係を肯定して,会社の責任を認めた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.2.27判決)
架空取引を行っていた株式会社が,自社の会計監査人であった監査法人に対して,監査手続において当該架空取引を看過したことが監査契約上の善管注意義務に違反するとして提起した損害賠償請求訴訟において,監査法人の善管注意義務違反が否定された事例
2(大阪地裁平19.3.30判決)
1 賃貸人代表者による賃貸目的建物への無断立入りが不法行為ないし債務不履行に当たるとして,賃借人による損害賠償請求が一部認容された事例
2 賃貸人代表者による賃貸目的建物への無断立入りが賃借人に対する債務不履行に当たるものの,賃借人による契約解除はできないとされた事例
3 建物賃貸借契約の終了時に敷金の一部を賃借人に返還しない旨の合意(敷引特約)に消費者契約法10条に反する部分があり,一部無効であるとして,賃借人の賃貸業者に対する敷金返還請求が一部認容された事例
3(名古屋地裁平19.9.21判決)
1 建築請負契約の目的物が工事途中でも瑕疵がある場合には,注文者は,瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み信義則に反すると認められるときを除き,その瑕疵への対応が適切になされるまでは,履行期が到来した報酬についてもその支払を拒むことができ,これについての履行遅滞の責任を負わないとされた事例
2 建築請負契約の目的物の瑕疵の程度,各契約当事者の交渉態度,竣工予定時から5年以上経過しても未完成であることなどから,請負人の工事完成義務が社会通念上履行不能となり,かつ,その履行不能につき請負人に帰責事由がないとはいえないとされた事例
4(仙台地裁平19.9.5判決)
外国為替証拠金取引は,賭博類似の取引として公序良俗に違反する
5(大阪地裁平17.1.12判決)
当該健康食品の宣伝内容の特殊性やその食品自体の特殊性からみて,身体に障害を与えるものではないが,食品衛生法により食品への添加が禁止されている添加物が含まれた当該健康食品の引渡しが債務の本旨に従った履行には当たらないとして,債務不履行に基づく代金相当額の損害賠償請求が認められた事例
6(静岡地裁浜松支部平19.12.3判決)
交通事故による損害賠償請求訴訟において,低髄液圧症候群の発症が主張されたが,認められなかった事例
7(東京地裁平20.2.18判決)
看護師が蓄尿検査に防腐剤として使用するアジ化ナトリウムを誤って糖尿病の患者に投与したために患者が白質脳症となり,高次脳機能障害の後遺障害が残ったことについて患者とその家族が病院に損害賠償を請求する事案において,患者が糖尿病の三大合併症を発症していたこと等を考慮し,統計的資料等を参考にして,平均余命期間よりも短い余命期間を認定して将来の付添看護費用を算定した事例
[知的財産]
8(東京地裁平19.4.18判決)
X製品(増幅器)の意匠が,増幅器付スピーカーに係るYの登録意匠に類似しているとして,Xによる,意匠権侵害に基づく差止請求権の不存在確認請求が棄却された事例
[諸 法]
9(大阪高裁平20.1.25判決)
1 遺失物法(平成18年法律第73号による改正前のもの。以下同じ。)に基づく報労金請求が権利の濫用として許されないとまではいえないとされた事例
2 株券の拾得者からの遺失物法に基づく報労金請求について,遺失物法4条1項所定の「物件ノ価格」を株券の価格の70パーセントとして報労金が算定された事例

[民事訴訟法]
10(京都地裁平19.8.29判決)
1 建物収去土地明渡請求訴訟に対して当該対象建物の所有権が自己に帰属することの確認等を求める独立当事者参加の申出が参加要件を満たさないとされた事例
2 物件明細書の記載にかかわらず,法定地上権の成立が否定され,仮に成立するとしても土地競落人に対抗できないとされた事例
11(東京高裁平19.3.29判決)
国立大学法人の実施した同大学医学部医学科の入学試験に不合格とされた受験者が合否判定権の濫用を理由として入学の許可を求めた場合において,当該請求を同法人との在学契約締結の承諾の意思表示を求める趣旨と解しても,また,入学試験による選抜において合格との判定の意思表示を求める趣旨と解しても,いずれも理由がないとして,これを棄却した事例
刑事裁判例
[刑 法]
1(山形地裁平19.5.23判決)
1 幼少時,被害者から性的暴行を受けた被告人が,その10年以上後,研磨した模造刀で被害者ら3名を突き刺すなどし,うち2名を殺害した事案について,被告人は,犯行当時,PTSD(心的外傷後ストレス障害)に基づく幻覚妄想状態にあり,心神喪失状態などにあったとする弁護人の主張を排斥した事例
2 上記事例において,被告人に対し,無期懲役を言い渡した事例

[刑事訴訟法]
2(東京高裁平19.9.18判決)
1 所持品検査に応じるよう説得するために被疑者を長時間留め置いたことが違法とされた事例
2 公務執行妨害罪における暴行に該当しないとされた事例
3 車両内から発見された大麻等の証拠能力がその発見に至るまでの一連の手続に重大な違法があるとして否定された事例


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