雑誌バックナンバー
判例タイムズ 1293号

誌名: 判例タイムズ 1293号

創刊: 判例タイムズ社
発売日: 2009年06月01日

価格: 2,000円

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雑誌紹介

「判例タイムズ」は、1948年の創刊以来、我が国を代表する判例紹介誌として、幅広い分野の法律実務家から高い評価を受けています。全国の判例情報から実用性の高いものを迅速的確に紹介しつつ、実務家・研究者と連携して時事問題を取り扱った論文・鼎談等をタイムリーに掲載しており、実務家・研究者に限らず、広く法務に携わるすべての人々必見の書です。


概要

記事紹介
■ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
――心証形成・法的判断の過程とその解説 (2)/瀬木比呂志
■現代企業法研究会 企業間提携契約の法的諸問題10
企業間提携契約の更新条項に関する若干の考察/奈良輝久
■独占禁止法の新たな展開3
措置体系および行政上の措置/村上政博
◆破産債権査定異議の訴えに関する覚書(下)
訴訟物,手続法的性質,手続構造と審理上の問題点について/北澤純一
■続・元裁判官の書斎(6)
絶句類選の詩と遠麟の思い出/倉田卓次
◆新司法試験の合格者数について
法科大学院の一教員の立場から/石川 明
■ブック・レビュー
井上繁規著『民事控訴審の判決と審理』/松田 亨
判例紹介
行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平20.6.26判決)生活保護老齢加算廃止東京訴訟第1審判決
老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいて給付を減額すること等を内容とする保護変更決定が生活保護法56条,8条2項及び9条並びに憲法25条等に反するものではなく適法とされた事例
[国家補償法]
2(高松高裁平20.9.30判決)県警配転国賠訴訟控訴審判決
現職警察官が,愛媛県の捜査費等不正支出問題に関して行った内部告発の記者会見に関して,その記者会見前に,上司らが同警察官と面談したことは違法ではなく,記者会見直後に,同警察官のけん銃を保管した措置も違法ではないものの,記者会見直後に,同警察官を配置換えしたこと及び勤勉手当を減額したことは違法であるとして,愛媛県に対して,100万円の慰謝料の支払を命じた事例
[地方自治法]
3(東京地裁平19.10.26判決)
1 公社発注の土木工事の指名競争入札において,指名業者間で談合が行われた結果,市が損害を被ったと認定した事例
2 談合による市が被った損害について,民訴法248条によって認定すべき損害額は,存在する資料等から,ここまでは確実に存在したであろうと考えられる範囲に抑えた額ではなく,むしろ存在する資料等から合理的に考えられる中で,実際に生じた損害額に最も近いと推測できる額をいうと解すべきであるとして,談合があったと認定した各工事について予定価格の8パーセントないし10パーセントの損害額を算定した事例
民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平19.12.6判決)
有料駐車場に放置された自動車の所有権留保権者は,有料駐車場の所有者に対し,放置自動車の撤去義務を負わないとされた事例
2(東京地裁平20.9.18判決)
マンション建築工事の請負人と注文者との間でされた,注文者の事由により請負契約が不履行となった場合には,注文者は,請負代金の35%相当額を違約金として請負人に支払うとの違約金約定の適用が認められた事例
3(名古屋地裁平20.3.28判決)
被告の提供するインターネットオークションサービスを利用して詐欺被害にあった原告らが,被告に対し,詐欺被害を生じさせないインターネットオークションシステムを構築すべき注意義務を怠ったとして,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において,被告には上記サービスの利用者に対し詐欺等の被害防止に向けた注意喚起を時宜に沿って行う利用契約における信義則上の義務があるが,その違反を認めることはできないと判断して原告らの請求を棄却した事例
4(大阪地裁平20.12.26判決)
1 名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟について,いわゆる真実性の抗弁を認めた事例
2 記者会見において,断定的な表現ではなく,「可能性」(疑い)がある旨の発表をした場合に,「可能性」の内容たる事実ではなく,「可能性」の存在が証明されれば名誉毀損の違法性が阻却されるとした事例
5(東京地裁平20.8.27判決)
商品先物取引において,受託業者に,取引開始時に適合性原則に違反するとまでは認められないが,委託意思のない顧客に対する勧誘行為,一口勧誘禁止違反,説明義務違反,断定的利益判断の提供,新規委託者保護義務違反,仕切拒否,取引開始後の適合性原則違反の違法行為があり,取引全体について不法行為が成立するとされた事例(過失相殺4割)
6(東京地裁平20.8.27判決)
職場を異動した直後の過重な業務と小脳出血及び水頭症の発症との間の因果関係を肯定した上,先天的な脳動脈奇形が発症に一定程度寄与したとして,20パーセントの素因減額を行った事例
[知的財産]
7(東京地裁平20.9.29判決)
1 特許発明の自己実施により特許権者において独占の利益が生じているといえるためには,当該特許権の保有と競業他者の排除との間に因果関係が認められることが必要であり,その存否については,@当該特許権者が採用しているライセンスポリシーの内容,A競業他者による当該特許発明の代替技術の使用の有無及びその代替技術の内容,Bライセンス契約の相手方による当該特許発明の実施の有無,C当該特許権者自身による代替技術の実施の有無等の事情を総合的に考慮して判断すべきである
2 職務発明対価請求権の消滅時効の起算点となる実施褒賞金の支払時期について,特許権の設定登録時,当該発明の実施又は実施許諾時のうち,いずれかの遅い時点と解するのが相当であるとされた事例
8(東京地裁平20.12.26判決)黒烏龍茶事件
1 原告の商品表示の周知性を肯定しつつ,その著名性を否定した事例
2 原告の商品表示と被告らの二種類の商品表示との類否について,一方については類似性を肯定し,他方については類似性を否定した事例
3 原告の商品と被告らの商品とを比較する広告が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知するものであるとされた事例
4 登録商標の使用が商標としての使用に当たらないとされた事例
5 商品のデザインの著作物性が否定された事例
6 製造業者と販売業者の関係にある被告らの関連共同性が肯定された事例
9(東京地裁平20.11.26判決)
1 不正競争防止法2条6項における秘密管理性の認定においては,当該情報が営業秘密であると認識できるようにされているか,当該情報にアクセスできる者が制限されているか等を判断要素とし,当該情報の性質等のほか,情報を利用しようとする者が誰であるか等も考慮すべきである
2 退職後においては,職業選択の自由の保障のため,契約上の秘密保持義務を合理的な範囲に限定して解釈するのが相当である
3
退職後の競業避止に関する合意は,職業選択の自由に対して極めて大きな制約を及ぼすものであるから,それに基づく競業避止義務の範囲については,制約の合理性を基礎付け得る必要最小限度の内容に限定して効力を認めるのが相当である
[民事執行法]
10(東京高裁平20.10.31決定)
民事執行法190条2項の動産競売の開始の許可に係る決定書正本を有する金銭債権の債権者に,財産開示手続の申立権が認められるか(消極)
[倒産処理法]
11(東京地裁平20.8.18判決)
1 保証金2億円は,原告が破産法53条1項に基づき賃貸借契約を解除したことにより,違約金条項に基づき,損害賠償請求権に全額充当されて,消滅した
2 賃貸人である被告が原告に対して取得した原状回復費用請求権は,破産法148条1項4号及び8号の適用又は類推適用により財団債権と認められる
3 破産手続開始決定前に履行期が到来している賃料債権は,破産債権であるから,破産手続によらなければ,行使できない
4 原状回復費用債務は,原状回復義務と目的を同じくするものであるから,原状回復費用債務の履行期は,原状回復義務の履行期と同一となる

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平20.4.3判決)
被告人両名が共謀の上我が子に体罰を加えて死亡させたとして起訴された傷害致死事件において,被告人両名以外に被害児の死因となった暴行を加えた人物は想定できないとの検察官の消去法的な立証は尽くされておらず,被告人両名を有罪とするには合理的な疑いが残るとされた事例


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