雑誌バックナンバー
判例タイムズ 1318号

誌名: 判例タイムズ 1318号

創刊: 判例タイムズ社
発売日: 2010年05月01日

価格: 2,000円

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雑誌紹介

「判例タイムズ」は、1948年の創刊以来、我が国を代表する判例紹介誌として、幅広い分野の法律実務家から高い評価を受けています。全国の判例情報から実用性の高いものを迅速的確に紹介しつつ、実務家・研究者と連携して時事問題を取り扱った論文・鼎談等をタイムリーに掲載しており、実務家・研究者に限らず、広く法務に携わるすべての人々必見の書です。


概要

記事紹介
独占禁止法の新たな展開 14
一定の取引分野における競争の実質的制限と公正競争阻害性/村上政博
証人尋問,被告人質問に関する諸問題 [大阪刑事実務研究会]
1尋問等の際の動作による再現/細谷泰暢
2尋問における書面等の提示と証拠制限規定(刑訴法316条の32)との関係/渡部市郎
3尋問の関連性について/出口博章
4立証趣旨の追加・変更,証人尋問請求の撤回,反対尋問の機会における新たな事項の尋問,被告人質問における新たな主張に関する供述/飯畑正一郎
判例紹介
特 報
[憲 法]
1(最高裁大法廷平22.1.20判決)
1 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法89条,20条1項後段に違反するとされた事例
2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例
最高裁判例
[憲 法]
1(最高裁大法廷平22.1.20判決)
市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことが憲法20条3項,89条に違反しないとされた事例
[民 法]
2(最高裁第二小法廷平22.1.29判決)
A社の財務部門を法人化して設立され,A社を中核とするグループに属するX社が,上記グループに属するB社に金員を貸し付け,B社の代表取締役であるYがこの貸付けに係るB社の借入金債務を保証した場合において,B社が既に事業を停止している状況下で,X社がYに対して保証債務の履行を請求することが権利の濫用に当たるとされた事例
3(最高裁第二小法廷平21.12.18判決)
特定の商品の先物取引につき,委託玉と自己玉とを通算した売りの取組高と買いの取組高とが均衡するように自己玉を建てることを繰り返す取引手法を用いている商品取引員の従業員が,信義則上,専門的な知識を有しない委託者に対して負う説明義務
4(最高裁第一小法廷平21.12.10判決)
学校による生徒募集の際に説明,宣伝された教育内容や指導方法の一部が変更され,これが実施されなくなったことが,親の期待,信頼を損なう違法なものとして不法行為を構成する場合
[刑 法]
5(最高裁第一小法廷平21.12.8決定)
1 精神鑑定の意見の一部を採用した場合と責任能力の有無・程度の判断
2 責任能力の有無・程度について原判決の判断手法に誤りがないとされた事例
6(最高裁第一小法廷平21.7.14決定)
刑法96条の2にいう「強制執行」と民事執行法1条所定の「担保権の実行としての競売」
7(最高裁第三小法廷平21.6.30決定)
共犯者が住居に侵入した後強盗に着手する前に現場から離脱した場合において共謀関係の解消が否定された事例
8(最高裁第一小法廷平21.6.29決定)
1 パチスロ店内で,パチスロ機から不正な方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについて窃盗罪が成立するか
2 窃取した財物と窃取したとはいえない財物とが混在している場合における窃盗罪の成立範囲について判示した事例
9(最高裁第三小法廷平21.3.16決定)
防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,退職後に私企業の非常勤顧問となり顧問料として金員の供与を受けたことについて,事後収賄罪が成立するとされた事例
[特別刑法]
10(最高裁第二小法廷平21.12.7判決)
旧株式会社日本債券信用銀行の平成10年3月期の決算処理における支援先等に対する貸出金の査定に関して,これまで「公正ナル会計慣行」として行われていた税法基準の考え方によることも許容されるとして,資産査定通達等によって補充される平成9年7月31日改正後の決算経理基準を唯一の基準とした原判決が破棄された事例
11(最高裁第二小法廷平21.9.15決定)
1補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪(補助金等不正受交付罪)の成立範囲及びその判断方法
2 保管又は処分した国産牛肉の量に応じて交付される補助金につき,対象外の牛肉等を上乗せして補助金の交付を受けた場合,補助金等不正受交付罪は,交付を受けた補助金全額ではなく,上乗せした牛肉に係る受交付額について成立するとされた事例
行政裁判例
[地方自治法]
1(佐賀地裁平21.1.30判決)コピー費訴訟
本件の事実関係の下では,当時の県知事には,「ゼロ精算」目的で行われた複写機使用料名下の不正支出(いわゆる裏金の創出)について具体的な予見可能性があり,指揮監督上の義務として,不正支出の有無を調査すべき義務があり,調査していれば不正支出を防げたにもかかわらず,これを怠ったとして,当時の県知事の県に対する損害賠償責任が認められた事例
労働裁判例
[個別的労働関係]
1(大阪地裁平21.3.25判決)
1 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条は直截的に私法的効力を認めた規定とまで解することはできない
2 被告が定めていた60歳定年以後の勤務措置が同条1項2号に該当するとされた事例
民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平20.2.21判決)
患者に予期しない重篤な後遺症が残っているなどの判示の事情のもとでは,医療機関の患者に対するてん末報告義務として診療録等を示しながら診療経過等を説明する必要があったとして,診療録等を開示しなかった医療機関の債務不履行責任を肯定した事例
2(東京地裁平19.12.14判決)
1 名誉毀損の成否が問題となっている表現行為の対象者の特定
2 批判に対する反論としてされた表現行為と名誉毀損の成否

[商 法]
3(東京地裁平21.10.22判決)
1 株式会社の取締役は,会社の事業の規模や特性に応じて,従業員による不正行為などを含めて,リスクの状況を正確に把握し,適切にリスクを管理する体制を構築し,また,その職責や必要の限度において,個別リスクの発生を防止するために指導監督すべき善管注意義務を負うとされた事例
2 報道機関である株式会社において,その従業員によるインサイダー取引を防止できなかったことにつき,取締役らに善管注意義務違反がないものとされた事例
4(東京地裁平22.1.12判決)アーバンコーポレイション株主損害賠償請求債権査定異議事件
1 特定の株価下落により生じた損害の全部が,金融商品取引法21条の2第4項にいう「虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情」により生じた損害であることの証明があるというためには,㈰虚偽記載等に係る真実情報の公表がなくとも,他の特定の株価下落原因だけで,当該株価下落がすべて生じたことの証明があることに加えて,㈪虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは,当該株価下落は一切生じなかったことの証明がなければならないとした事例
2 虚偽記載等に係る真実情報の公表がなくとも他の特定の株価下落原因だけで当該株価下落がすべて生じたことの証明はあるが,虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは当該株価下落は一切生じなかったことの証明はない,しかし,虚偽記載等に係る真実情報の公表だけで当該株価下落がすべて生じたと認めることもできず,とはいえ,当該株価下落分のうち虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは生じなかった部分(金額)を証明することは極めて困難であるという事案において,金融商品取引法21条の2第5項を類推適用し,当該株価下落分の8割に相当する部分をもって,虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは生じなかった株価下落分と認め,同条第2項による推定損害額の8割に相当する額をもって,同条第5項にいう「賠償の責めに任じない損害の額として相当な額」と認めた事例
3 金融商品取引法21条の2第2項による推定損害額は,虚偽記載等の公表日までに生じた株価下落により生じた損害の額を含んでいないとした事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平21.10.28判決)
「肌優」の漢字2文字からなる商標(本件商標)が,中段に漢字「優肌」,上段にひらがな「ゆうき」,下段に欧文字「YU─KI」を配した引用商標と観念において同一又は類似し,外観において類似するから,商標法4条1項11号に該当し,同法46条1項1号の無効事由があるとして,無効不成立とした審決が取り消された事例
6(知的財産高裁平21.10.28判決)苦菜花事件
テレビドラマの著作権者であるXが,通信衛星を利用したデジタル多チャンネル放送番組の放送業務等を行う電気通信事業者Y2を被告とし,テレビドラマを放送したY1の行為がXの有する著作権(公衆送信権)を侵害すると主張して損害賠償請求をした事案において,電気通信役務利用放送事業者Y1から委託を受けて放送した当該放送番組の著作権に関して,電気通信事業者(被告Y2)には,委託元となった電気通信役務利用放送事業者が適法な権限を有していたか否かについての注意義務違反がなかったとされた事例
[倒産処理法]
7(東京高裁平21.3.17決定)
小規模個人再生の決議において再生計画案が否決され廃止決定がされた後に反対債権者から計画案への同意が得られた場合の措置
刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平21.5.25判決)
統合失調症の被害妄想の強い影響下で行われた傷害致死の行為につき,上告審が原審が採用しなかった心神喪失を示唆する鑑定の基本的な信用性を肯定して破棄差し戻した後の控訴審において,上告審判決が要検討事項として指摘した点について新たに行った事実取調べの結果を踏まえ,鑑定の信用性を肯定できないとして心神耗弱が認定された事例


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