雑誌バックナンバー
判例タイムズ 1326号

誌名: 判例タイムズ 1326号

創刊: 判例タイムズ社
発売日: 2010年09月01日

価格: 2,000円

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雑誌紹介

「判例タイムズ」は、1948年の創刊以来、我が国を代表する判例紹介誌として、幅広い分野の法律実務家から高い評価を受けています。全国の判例情報から実用性の高いものを迅速的確に紹介しつつ、実務家・研究者と連携して時事問題を取り扱った論文・鼎談等をタイムリーに掲載しており、実務家・研究者に限らず、広く法務に携わるすべての人々必見の書です。


概要

●記事紹介
医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム第1回
交通損害賠償における「あるがまま」
ー素因減額を中心に/森 健二
交通事故の当事者につき破産手続開始決定がされた場合の問題点について/小野瀬 昭
民事手続法判例研究 (5)
特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件と秘密保持命令
ー最高裁平成20年(許)第36号,秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件/河野正憲
ブックレビュー
酒巻匡編著『刑事証拠開示の理論と実務』/稗田雅洋
●判例紹介
特 報
[情報公開]
1沖縄返還「密約」文書開示事件第一審判決(東京地裁平22.4.9判決)
1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律4条1項に基づく行政文書開示請求に対して不存在を理由としてされた不開示決定の取消訴訟において,原告である開示請求者は,行政機関が当該行政文書を保有していること(当該行政文書の存在)について主張立証責任を負うが,原告である開示請求者が,過去のある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を職務上作成し,又は取得し,当該行政機関がそれを保有するに至ったことを主張立証した場合には,その状態がその後も継続していることが事実上推認され,被告において,当該行政文書が廃棄,移管等されたことによってその保有が失われたことを主張立証しない限り,当該行政機関は同不開示決定の時点においても当該行政文書を保有していたと推認されるとされた事例
2 沖縄返還交渉において日本が米国に対して沖縄返還協定で規定した内容を超える財政負担等を国民に知らせないままに行う旨の合意(いわゆる「密約」)を示す行政文書が外務省及び大蔵省の職員によって職務上作成され,外務省及び大蔵省がこれらを保有するに至ったことが認められる一方,これらの保有が失われた事実を認めることはできないとして,当該行政文書の不存在を理由とする不開示決定が取り消され,当該行政文書の開示が命じられた事例
3 行政機関の保有する情報の公開に関する法律4条1項に基づく行政文書開示請求を受けた外務省の職員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行政文書は不存在と判断して不開示決定をしたとして,国家賠償請求が認容された事例
最高裁判例
[国家補償法]
1(最高裁第一小法廷平22.6.3判決)
固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ていない場合における国家賠償請求の許否
[民 法]
2(最高裁第三小法廷平22.6.1判決)
売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことが,民法570条にいう瑕疵に当たらないとされた事例
3(最高裁第一小法廷平22.6.17判決)
売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合に,買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において買主が当該建物に居住していたという利益を損益相殺等の対象として損害額から控除することの可否
[諸 法]
4(最高裁第三小法廷平22.4.20判決)
1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合における利息制限法1条1項にいう「元本」の額
2 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,上記取引の過程におけるある借入れの時点で従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回るに至ったときに,上記取引に適用される制限利率
5(最高裁第三小法廷平22.4.13判決)
1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者が損害賠償責任を負う場合
2 インターネット上の電子掲示板にされた書き込みの発信者情報の開示請求を受けた特定電気通信役務提供者が,請求者の権利が侵害されたことが明らかでないとして開示請求に応じなかったことにつき,重大な過失があったとはいえないとされた事例
[民事執行法]
6(最高裁第三小法廷平22.6.29判決)
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法
[特別刑法]
7(最高裁第一小法廷平21.10.21決定)
児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
[刑事訴訟法]
8(最高裁第三小法廷平22.4.27判決)
殺人,現住建造物等放火の公訴事実について間接事実を総合して被告人を有罪とした第1審判決及びその事実認定を是認した原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例
行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平21.8.28判決)
1 取消訴訟等の手続によらずに課税処分の違法を理由とする国家賠償請求を行うことは許される
2 都税事務所長は個人事業税を過徴収したが職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と課税した違法があるとはいえない
3 地方税法の過誤納金に関する規定は,民法の不当利得の特則であり,民法の不当利得の規定の適用を排除する趣旨である
労働裁判例
[個別的労働関係]
1(京都地裁平22.5.25判決)
飲食店従業員が急性左心機能不全により死亡した事案につき,会社に対し,安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めるとともに,会社の取締役に対し,長時間労働を前提とした勤務体系や給与体系をとっており,労働者の生命・健康を損なわないような体制を構築していなかったとして会社法429条1項に基づく責任を認めた事例
民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.1.29判決)
意思表示をした時点で不確定であった将来発生する事象に関する予測ないし期待は,錯誤の対象とならない
2(大阪高裁平22.2.26判決)
契約交渉過程における説明義務違反について債務不履行責任を認め,10年の消滅時効期間を適用した事例
3(東京地裁平21.11.18判決)
学習塾チェーン経営会社が競業禁止条項に違反して独立した元フランチャイズ契約加盟店に対して行った違約金請求につき,違約金条項の一部が公序良俗に反するとして請求額の一部のみが認容された事例
4(神戸地裁伊丹支部平21.12.17判決)
指定痴呆対応型共同介護施設における入居者の2度の転倒事故について,施設側の損害賠償責任が認められた事例
5(福岡地裁小倉支部平21.8.21判決)
追突事故の被害者について脳脊髄液減少症の発症が否定された事例

[知的財産]
6(知的財産高裁平21.12.22判決)
名称を「呼吸装置」とする発明において,解決課題の相違,作用及び機能の相違等により,引用発明に公知技術を適用することができないとして,審決の進歩性の判断に誤りがあったとした事例
7(大阪地裁平21.11.26判決)
日本国特許権に基づく我が国における被告物件の譲渡の申出の差止めに係る訴えにつき,被告が我が国において譲渡の申出をしたとは認められないとして,我が国の国際裁判管轄が否定された事例
[諸 法]
8(大阪地裁平21.3.12判決)
1 中間取得者であっても,区分所有法8条に定める「区分所有者の特定承継人」に当たり,前所有者の滞納管理費等の支払義務を負うとされた事例
2 中間取得者及び現所有者の管理費等支払債務が不真正連帯債務の関係になるとされた事例
刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.1.26判決)
弁護人が別件による現行犯人逮捕の違法性を強く主張し,その後の身柄拘束下で収集された証拠につき違法収集証拠であると争っている状況において,現行犯人逮捕手続書等の書証を不同意のまま採用することをもって事足りるとし,弁護人からの現行犯人逮捕に関与した警察官等の証人尋問請求をすべて却下した原審には,証拠採用に関する合理的な裁量の範囲を逸脱した違法があるとされた事例


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