雑誌バックナンバー
判例タイムズ 1327号

誌名: 判例タイムズ 1327号

創刊: 判例タイムズ社
発売日: 2010年09月15日

価格: 2,000円

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雑誌紹介

「判例タイムズ」は、1948年の創刊以来、我が国を代表する判例紹介誌として、幅広い分野の法律実務家から高い評価を受けています。全国の判例情報から実用性の高いものを迅速的確に紹介しつつ、実務家・研究者と連携して時事問題を取り扱った論文・鼎談等をタイムリーに掲載しており、実務家・研究者に限らず、広く法務に携わるすべての人々必見の書です。


概要


●記事紹介
家事法研究会(4)──遺産分割事件と遺留分減殺請求事件との関係
遺産分割審判と遺留分減殺請求訴訟との関係/長 秀之
後継ぎ遺贈型の受益者連続信託と遺産分割及び遺留分減殺請求/加藤祐司
共同相続人間の遺留分減殺請求と負担付遺贈に関する問題/常岡史子
訴訟上の和解における実体法との乖離/石川 明
裁判員裁判における精神鑑定の在り方に関する勉強会について/川本清巌・丹羽芳徳・宮田祥次・市野井哲也
●判例紹介
最高裁判例
[地方自治法]
1(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
政令指定都市である市の議会における定例会等の会議に出席した議員に対し費用弁償として日額1万円を支給する旨の当該市の条例の定めが,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)203条が普通地方公共団体の議会に与えた裁量権の範囲を超え又はそれを濫用したものとして違法,無効であるとはいえないとされた事例
[情報公開]
2(最高裁第一小法廷平22.2.25判決)
市立学校の教職員の評価・育成制度の下で教職員が作成した自己申告票中の設定目標,達成状況等に係る各欄に記載された情報及び校長が作成した評価・育成シート中の当該教職員の評価,育成方針等に係る各欄に記載された情報が,茨木市情報公開条例(平成15年茨木市条例第35号)7条6号柱書き及び同号エ所定の非公開情報に当たるとされた事例
[個別的労働関係]
3(最高裁第三小法廷平22.5.25判決)
1 労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴訟に移行した場合において,当該労働審判は民訴法23条1項6号にいう「前審の裁判」に当たるか
2 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が,当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例
4(最高裁第一小法廷平22.3.25判決)
金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為が,X会社に対する不法行為に当たらないとされた事例
[民 法]
5(最高裁第一小法廷平22.4.8判決)
医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における,同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈
[刑 法]
6(最高裁第一小法廷平22.5.31決定)
花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,雑踏警備に関し現場で警察官を指揮する立場にあった警察署地域官及び現場で警備員を統括する立場にあった警備会社支社長に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例
行政裁判例
[国家補償法]
1(福岡地裁小倉支部平21.6.23判決)
耐震強度が偽装されたマンションについて建築確認をした指定確認検査機関に対する損害賠償請求が棄却された事例
[地方自治法]
2(福岡高裁平21.9.1判決)
元市長の市長在任当時の「接遇」に係る交際費の支出につき,その一部が社会通念上儀礼の範囲を逸脱する支出であったとして,当該支出の限度で,現市長に対し,旧市長に対する損害賠償を請求することを求める地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求が認容された事例
労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平22.2.25判決)
1 労働組合が複数併存し,使用者が多数派労働組合とのみ経営協議会を設けている場合において,経営協議会で提示された資料や説明内容が団体交渉における説明・協議の基礎となるときは,使用者は,少数派労働組合から求められれば,団体交渉において必要な限りで同様の資料の提示や説明を行う必要があるとした上,当該少数派労働組合との団体交渉における使用者の対応がこれらの点において不誠実であったとして労組法7条2号の不当労働行為該当性が認められた事例
2 団体交渉における使用者の対応について,労組法7条2号の不当労働行為に当たるが,同条3号の不当労働行為には当たらないとして,前者につき救済措置を命じ,後者につき棄却した中労委命令に対して使用者が提起した当該救済措置部分の取消しを求める訴訟において,行訴法22条により被告側に訴訟参加した労働組合は,必要的共同訴訟の共同訴訟人に準ずる地位に立つが,共同訴訟人とは異なり,独自の訴訟上の請求をしている者ではないから,中労委命令のうちの当該棄却部分の判断が誤っていると主張していても,審理の対象でない事項についての主張であり,これについて判断する必要がないとされた事例
民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.8.31判決)
東京都建築安全条例8条による避難通路の確保の規制に違反している建物の賃貸について,その是正を図る責任が,原則として賃貸人側にあると判断した事例
2(東京地裁平21.12.17判決)
1 買主から売買の目的物の瑕疵の修補費用を負担する旨の買主と売主との間の合意に基づいて上記修補費用を請求され,その一部を買主に支払った売主が,上記瑕疵の原因となった部材の製作業者に対して売主と製作業者との間の製作物供給契約に基づいて上記修補費用の既払分に係る損害賠償請求に併せてした上記修補費用の未払分に係る損害賠償請求が適法とされた事例
2 住宅用床材を構成する化粧シートにつき製作物供給契約の債務不履行責任が認められた事例
3(知的財産高裁平21.10.20判決)
1 「本営業に必要な譲渡日現在の資産負債及び営業権,特許権,実用新案権,商標権等の一切の権利」を譲渡する旨の営業譲渡契約において,契約当時設定登録に至っていない特許を受ける権利も,譲渡の対象とされた事例
2 譲渡人名義の預金に振り込まれた営業譲渡契約の対価の支払が,債務の本旨に従った営業権の対価の支払の履行として,特許権等の移転登録手続に対する同時履行の抗弁権が成立しないとされた事例
4(名古屋高裁平21.9.10判決)
預託金会員制ゴルフクラブの会員総会で,預託金を分割返還するとの議案に賛成したことでは,預託金の返還方法を変更することを承諾したとすることはできないとして,会員のゴルフ場運営会社に対する預託金の一括返還請求が認められた事例
5(東京地裁平22.1.18判決)
日本病理学会副理事長が厚生労働省の公募研究に応募して採択されたのは癒着であり,先行研究のパクリである旨記載したインターネットのサイト上の記事が名誉毀損に当たるとされた事例
[商 法]
6(東京地裁平22.2.16判決)
1 貨物船による海上運送中の貨物の滅失につき,事故の原因は,船長の航海上の過失にあり,貨物船は発航時には堪航能力を有していたとして,運送人の国際海上物品運送法3条1項及び5条1項の責任を否定した事例
2 国際海上物品運送法20条の2第1項にいう「荷受人」の意義について,商法583条により荷送人の権利を取得した荷受人に限定されると解すべきであるとの主張を退けた事例
[知的財産]
7(知的財産高裁平21.10.22判決)
名称を「化粧用パッティング材」とする発明において,発明の解決課題が当業者にとって自明又は周知であったということはできず,また,引用例その他の刊行物には化粧用パッティング材から剥離される各層にウォータジェット噴射による表面加工を施すことを動機付ける旨の開示又は示唆がないとして,審決の進歩性の判断に誤りがあったとした事例
8(東京地裁平21.11.27判決)
1 営業秘密とする顧客情報の秘密管理性を否定した事例
2 営業秘密とする書式の非公知性を否定した事例
3 営業秘密とする不動産所有者情報の取得・使用を否定した事例
[倒産処理法]
9(大阪地裁平22.3.15判決)
1 約束手形を目的物とする譲渡担保権設定契約の締結に対する民事再生法127条の3第1項1号に基づく否認権の行使が認められた事例
2 普通預金口座への預入れが「専ら再生債権をもって相殺に供する目的でされた財産処分契約」に該当するとして,上記預金債務を受働債権とする相殺が民事再生法93条1項2号により認められなかった事例
3 否認権の行使及び相殺禁止規定の適用が信義則に反しないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(大阪高裁平21.10.22判決)
被告人の暴行が,刑法36条1項にいう「やむを得ずにした行為」に当たるとして,正当防衛の成立を認め,傷害の訴因につき無罪を言い渡した事例


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