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誌名: 美術手帖 2005年5月号 創刊: 美術出版社 発売日: 2005年04月17日 価格: 1,600円 この号の購入はこちらへ 最新号の購入はこちらへ |
雑誌紹介
資料性の高いヴィジュアル・マガジンとして海外からも熱い注目を浴びている。1948年の創刊以来、たえずアートシーンをリードしつづけるオピニオン雑誌。
概要
特集
◆◆◆ 日本画ってなんだろう? ◆◆◆
”歴史編” ”技法編” ”状況編”
『日本画』には現代美術とはまたちがった独特の世界があるように思います。でも、ほんとうの姿はなかなか見せてくれません。『日本画』とは一体何なのでしょう?今回はその硬いイメージの先入観をいったん取り払って、あらためて『日本画』に向き合ってみましょう。『日本画』はこんなにも魅力的です。
◆巻頭対峙
松井冬子『夜盲症』 vs 上村松園『焔』
◆歴史編
◇日本画「バカテク」展
技術がなければ『日本画』に命は吹き込まれません。テクニックを磨くこと。これから『日本画』を学ぶ人はまずこのことを肝に命じてください。過去にはあったその技術が今、滅びつつある状況です。ここでは18世紀から戦後まで、神々しいテクニックを駆使した画家たちの作品を紹介します。まずは理屈抜きで上手い絵を見てください。
◇丸山応挙『藤花図』
◇長澤蘆雪『大原女図』
◇曾我蕭白『狂女図』
◇伊藤若冲『雪中鴛鴦図』
◇狩野芳崖『仁王捉鬼図』
◇狩野一信『五百羅漢図』
◇河鍋暁斎『狂斎絵日記』
◇竹内栖鳳『虎・獅子図』
◇川端龍子『草炎』
◇速水御舟『鍋島の皿に石榴』
◇鏑木清方『三遊亭園朝図』
◇田中一村『アダンの木』
◆技法編
◇「画材」と「技法の基礎」と「応用」
古来からの伝統的絵画とみなされている『日本画』も、画材と技法の観点から見るとその時代々々にあわせて大きく変遷しています。ここでは、長い歴史の中で伝え守ってきた伝統と、近代の『日本画』が新につくりだした”伝統”の双方を紹介していきます。
◇日本画材の基本形
1. 紙と膠
膠を溶く 礬水引き
2. 支持体
生麩糊を作る 裏打ち ベニヤ下張りと水張り
3. 粉絵具
胡粉を溶く 胡粉の用い方
4. 岩絵具
岩絵具の使い方
5. その他の絵具
箔を押す
6. 筆と刷毛
筆を使う
◇最新の画材研究から
1. 岩絵具 〜近代色料のローカルスタンダード
明治の「日本画」色料改革 増え続ける新しい岩絵具 「日本画」の伝統性とは何か?
2. 絵画に見る「日本画」と「洋画」
顔料と展色材による絵具の種類 日本画と洋画における顔料の種類 顔料の性質による絵具の違い
3. にかわ 〜見えないものを考える
「にかわ」あれこれ にかわの接着性と乾性油の展色性 コロイド・ゾルとゲル にかわの膨潤、収縮、保水性硬質固体性 にかわの耐水性 最後に
◇現代日本画家の政策現場から
1. 山本直彰
極薄の和紙に、刷毛で、たっぷりと含ませた絵具を浸すように載せていき、その偶発的な文様を表現に変える。独自の画法を模索しながら、『日本画』を超えでる表現を切り開いてきた山本直彰。実際の制作現場を取材してその闘いの軌跡を追う。
2. 間島秀徳
アクリル系絵画と合成樹脂を活かしたドリッピングの手法で、コズミックなイメージを描きだす間島。物質的な表面の下に隠された下図の制作プロセスを取材して、その独創的な技法に込められた格闘の現場を知る。
◆状況編
◇『日本画』は変わるか?
いつのまにか日本画には『』(カギカッコ)が付いてしまいました。この『』は、これまでの日本画が持っていた「制度」的来歴を象徴してはいないでしょうか。いつかこの『』が取れたとき、日本画は変わると思います。変革のためには、まずは現在を知ることです。
◇アーティスト・インタビュー
1. 天明屋尚 〜”日本画家から見たら邪道かもしれないけれど、邪道で上等ですよ”
2. 町田久美 〜”好きに描いててよかったんだと思えるようになりました”
3. 松井冬子 〜”気持ち悪いとは思わないんです。単純に美しいと感じています”
◇『日本画』鼎談
会田誠 × 内田あぐり × 山下裕二
いよいよ「日本画」特集も終盤戦。ここで一息ついてお楽しみを。立場のちがう3人の選手にリングに上がってもらいましょう。まずは「日経日本画大賞」を受賞した“絵描き”内田あぐり。そして、日本画をズル賢く利用している“確信犯”会田誠。さらに、山下先生がここで“悪役レスラー”として登場。さてさて、大乱闘で終わるかに見えた一戦は、以外にもガチンコ勝負に。そも、その結末やいかに!?
◇論考
1. 今日の日本画と美術団体 〜日本人の社会的心情に根差した体制
2. 今日の日本画と美術市場 〜日本全国に浸透する販路
/ 上記2題 藤田一人
3. 日本画とは何か 〜外傷の絵画 ポスト・コロニアリズムの視点から / 北澤憲昭
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