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美術手帖 2006年8月号

誌名: 美術手帖 2006年8月号

創刊: 美術出版社
発売日: 2006年07月17日

価格: 1,600円

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雑誌紹介

資料性の高いヴィジュアル・マガジンとして海外からも熱い注目を浴びている。1948年の創刊以来、たえずアートシーンをリードしつづけるオピニオン雑誌。


概要

◇◆
◆◇特集 アートの旅にでかけよう
この夏ならではの、極めつけのアートを見つけに出発! 青森では、オープン
したての美術館で、煉瓦倉庫で、奈良美智さんが待っている。新潟には、里山
まるごとアートの国、「大地の芸術祭」が3年ぶりにやってくる。瀬戸内・直島
では、生まれ始めたアートファンのコミュニティーに参加したい。プランはちょ
っとで、ルートは自由に、出会いは未知数。そんな、アートの旅にでかけよう。
〜*〜*〜 目次 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
1 青森編
2 新潟・富山編
3 瀬戸内編
4 全国ミュージアム・ガイド30選
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┃1 青森編
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◇弘前 / ひと夏だけ訪れることのできる夢の街「A to Z」をさまよう
奈良美智の生まれ育った街・弘前と奈良+grafが仲間たちとつくりあげた小屋
が立ち並ぶ迷宮の街「A to Z」。現実の街と架空の街の間であなたは何と出会
うのだろうか。参加者それぞれの歩いた足跡が誰のものでもない物語を紡ぎだ
す――。
◆青森 / ねぶたの本場で巨大美術鑑賞。ついつい気持ちもでっかくなる
構想から15年――青森県立美術館がいよいよ開館する。オープニング展の目玉
は、シャガールによるバレエ「アレコ」の舞台美術で、巨大な綿布画が4幕分揃
う、レアな展示だ。さて、青森で巨大といえば「ねぶた」。この夏、アレコと
ねぶたを一緒に堪能してみよう。
◇青森〜恐山 / 深く青き森に根付く、縄文のこころをたどる

5,000年前の人びとの生活を、われわれの前にありありと浮かび上がらせた、
三内丸山遺跡の発見。大型掘立柱建物と、多くの出土品の造形は、私たちの「
縄文的」なイメージを決定付けた。縄文文化の「発見者」岡本太郎の足跡を追
って、青森から下北へ。
◆八戸〜三沢 / 基地と原燃のドラマチックワールドに演劇界の異才を訪
ねる
身捨つるほどの 祖国はありや――。小学校の多感な時期を、母とふたり三沢
で過ごした寺山修司。その詩の魅力は、世間の抑圧を撥ね返すエネルギーにあ
る。「下北」は、津軽地方に差別され、米軍基地と核処理施設をおしつけられ
た。八戸を拠点に世界で活動する前衛演劇の旗手を訪ね、現在形の「下北」の
横顔を垣間見た。
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┃2 新潟・富山編
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◇越後妻有 / 日本のふる里のくらしに「大地の芸術祭」でふれる

日本の原風景ともいえる里山に330を超えるアート作品が展開される。真夏の日
を浴びて山道を歩きながら自然の中でアーティストの作品と対面する。世界で
も稀な展覧会をさらに楽しむために越後妻有の風土と積極的に関わってみよう。
新鮮な出会いが待っているはずだ。
◆佐渡島 / 厳しい自然と芸能が息づく島の豊かな表情を体感する

日本海最大の離島・佐渡島。かつて遠流の地として貴族が流され、都からの文
化・芸能が発達した。また、対馬海流の影響で新潟本土にくらべ冬暖かく夏は
涼しく、珍しい植物も多い。北端の寺院で僧侶をしながら佐渡の波を撮り続け
ている梶井照陰を訪ねた。
◇氷見 / 風景をつなぎ、人がつながる、街の再生の萌芽を見つける
老舗旅館を再生させるプロジェクトがいまや氷見の街と人を巻き込んで進んで
いる。アーティストの想像力が発端となって、まずは氷見の人たちが街の魅力
に気付くこと。その魅力は訪れた人にもきっと届くだろう。再生は氷見のシン
ボル上庄川の流れのようにゆっくりゆっくりと進んでいく。
◆入善〜黒部 / 黒部川のダイナミックな流れがつくる壮大な眺める
「あばれ川」と呼ばれる黒部川。広大な扇状地と深く刻まれた黒部峡谷の自然。
水流が多く高低差があるため水力発電も発達し、そこで多くの人間ドラマが生
まれた。現在はおとなしい黒部川、自らがつくりだしたその自然と人工の景観
に何を見る。
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┃3 瀬戸内編
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◇直島 / アートの島で出会う人と暮らし、そして人生を見つめなおす
一昨年の地中美術館オープン以降、以前にまして美術ファンで賑わっている直
島。島外から移り住んでカフェを開いたり、空いている部屋を安い民宿にした
り、島に暮らす人々のあいだにも新しい風が吹き始めている。美術館に訪れた
ら、そんな島のリアルにも触れてみたい。
◆津山〜奈義 / 死体標本から異空間アートまで。山間の町でトリップす

岡山県北の街、津山・奈義。開けた瀬戸内から離れ、閉鎖的なイメージもある
が、江戸時代には洋学を先取した藩の気風があり、今は奈義町現代美術館とい
う、不思議な展示形態をもつ施設がある。山間の町の、凝縮された精神風土を
探る。
◇高知 / よさこいの地のバガボンドたちと南国の開放感にひたる
そそりたつ山並みに三方を囲まれ、太平洋の荒波に南側を閉ざされた高知県。
自然環境がもたらす心理的距離感は、しかしアーティストたちにとって、この
うえない自由な風土を提供している。映像作家、大木裕之とともに道後温泉(
愛媛)を発した。
◆讃岐平野 / うどんとアートのラビリンス。香川でお宝を掘り当てる
香川は日本で一番面積の小さな県だ。瀬戸内の暖かな気候、用水確保のための
ため池。古くから瀬戸内の海上交通がもたらした文化、そして空海以来の宗教
文化の交錯地でもある。イサムノグチ、丹下健三、猪熊弦一郎、中川幸夫ら強
烈な個性をもつアーティストたちがこの地で出会っている。この地のギャラリ
ストとアートコレクターを訪ねた。
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┃4 全国ミュージアム・ガイド30選
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気にはなってはいたけど、なかなかいけなかった美術館はありませんか?常設
展示が充実していたり、庭園がすばらしかったり、建築がユニークだったり…
…。そしてなにより訪れることそのものが「旅」になるような、とっておきの
ミュージアムを厳選してご紹介します。
モエレ沼公園
土門 記念館
金沢21世紀美術館
ニキ美術館
富弘美術館
ハラ ミュージアム アーク
森美術館
神奈川県立近代美術館 葉山
箱根ラリック美術館
ポーラ美術館
松本市美術館
池田満寿夫美術館
ヴァンジ彫刻庭園美術館
秋野不矩美術館
豊田市美術館
養老天命反転地
MIHO MUSEUM
細見美術館
アサヒビール大山崎山荘美術館
京都府立陶板名画の庭
サントリーミュージアム[天保山]
大原美術館
足立美術館
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
イサム・ノグチ庭園美術館
大塚国際美術館
福岡アジア美術館
熊本市現代美術館
鹿児島県霧島アートの森
田中一村記念美術館
〜*〜*〜 巻頭特集 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
岡本太郎「明日の神話」再生プロジェクト

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メキシコシティ、愛媛・東温市、そして東京・汐留へ……。高さ5・5メートル、
幅30メートルにおよぶ巨大壁画《明日の神話》は、1968年から69年にかけて岡
本太郎が制作、その後、撤去、行方不明となり、2003年に岡本敏子が発見。二
人の死後も意思を継ぐ人々のエネルギーによって、輸送、修復され、ついに公
開にこぎつけた。本誌ではこの夏もっとも注目されるこの作品に、詳細な図版、
修復家のインタビュー、年譜、対談、テキストなど様々な角度から追ってみた
い。
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┃1 対談 平野暁臣×鶴田真由
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“太郎のエネルギーをシャワーのように浴びて”
年齢、性別を問わず、あらゆる人に影響を与えつづける「岡本太郎」というエ
ネルギーとは、いったいなんなのか。「『明日の神話』再生プロジェクト」ゼ
ネラルプロデューサーの平野暁臣氏と、このプロジェクトの応援団「太郎の船
団」のメンバーでもある女優の鶴田真由さんに、壁画、太郎、岡本敏子につい
て語ってもらった。
“見る”というより“浴びる”感覚 / 岡本敏子の“人生最後の仕事” /
周りを巻き込むエネルギー
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┃2 修復ドキュメント
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《明日の神話》はいかにして甦ったか
1969年、メキシコのオテル・デ・メヒコに納品されて以来、行方知れずとなっ
ていた《明日の神話》。35年後に発見されたときには、資材置場という劣悪な
環境にあった。巨大な画面には、割れ、歪み、汚れに加え、欠損部もある。メ
キシコから愛媛県東温市の作業場に運ばれ、修復家の手に委ねられた。一年間
に及ぶ修復は、いかにして行われたのか。修復チームを率いた吉村絵美留氏に
話を聞いた。
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┃3 論考
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再説「爆心地」の芸術─岡本太郎と「明日の神話」 by 椹木野衣
壁画《明日の神話》の主題に、そもそも表象することが不可能な純粋な光の横
溢である「爆心地」を選んだ岡本太郎は、表象の「事後性」という問題をどの
ように超えたのか。壁画と同時期に取り組んでいた大阪万博「テーマ館」との
奇妙な符合から読み解いていく。
〜*〜*〜 アーティスト 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
1 束芋
2 長沼基樹
3 北辻良央

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┃ 束芋 ヨロヨロン
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日本人のドメスティックな公衆感覚を独特のユーモアと鋭いアイロニーで表現
した衝撃的なデビュー作から7年。現在、原美術館で開催中の個展「ヨロヨロン」
では、「身体」を通じて世界の内側へとアプローチしていく、束芋の進化を見
出すことができる。作家としての新たな局面を見せる、束芋の「現在」にスポ
ットをあてる。
◇インタビュー 〜 「わたしの作品は『何ものっていない器』でありたい」
新作は自分の中の「ブレ」を表現 / 「身体」から「世界」「宇宙」が見
える / 命を吹き込み、命をそぎ落とす
◆作家論 平成生命主義の幕開け by 福住廉
〜*〜*〜 展覧会 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
1 さよならナム・ジュン・パイク展
2 「群島」のアートへ

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┃1 さよならナム・ジュン・パイク展
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“バイ・バイ・キップリング、ハロー・パイク!”
フルクサスへの参加やヨーゼフ・ボイス、ジョン・ケージとの共演、衛星放送
を利用したグローバル・ネットワーク番組、TVモニターを多用したインスタレ
ーションなどによってアートシーンを牽引した東洋人、ナム・ジュン・パイク。
20世紀という時代の技術的な成果をもっとも深く理解し諧謔をこめて作品に転
化した慧眼のコスモポリタン、パイク。今年初めに逝去したメディア・アート
の第一人者、パイクをワタリウム美術館で開催中の回顧展を契機に再考する―
―。
東洋と欧米を移動しながら / キップリングへの反論 / ヨーコによるエレガ
ントな追悼
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┃2 「群島」のアートへ
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交錯し共鳴する3つの経路
東京・茅場町、隅田川に臨むマンションの一室にあるGALLERY MAKIで、「論証
―群島のアート考古学」と題された異色の連続企画展が開催中だ(7月28日まで)
。国家や民族に規定された美意識の臨界点を問い、近代の枠組みに捕らえられ
てきた芸術と美学の彼岸を垣間見る……偶然の出会いがなにかを共鳴させる、
未知の海路の中へ─。
〜*〜*〜 特別記事 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
1 文化庁芸術選奨受賞者・和田盗作問題を考える
2 映画「ジダン 神が愛した男」
3 青木淳内装設計・TARO NASU (大阪)オープン
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
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┃ 文化庁芸術選奨受賞者・和田盗作問題を考える
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巷を騒がせてきた洋画家・和田義彦への「盗作疑惑」と文化庁芸術選奨授賞取
り消しの報道。一連の騒動が露呈させた問題は、一画家のモラルを問いて帰結
する次元のものではない。美術界とこの国が由としてきた美術評価システムの
機能不全が、いま、問われている。
opinion 1 この国が定めた「美術」を問う by 椹木野衣
opinion 2 美術は「鎖国」されたままなのか by 東谷隆司
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┃Around the Globe 海外のアートシーンから
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◇シドニー:第5回シドニー・ビエンナーレ「接触領域」
◆ジャカルタ:ジャカルタ・ビエンナーレ2006
◇バーゼル:アート|バーゼル2006
◆ヘルシンキ:「ARS 06―現実感覚」展
◇ベルリン:ソンアンビエンテ・ベルリン2006
◆ブカレスト:ブカレスト・ビエンナーレ2「カオス―混沌の時代」
◇パリ:アルモドヴァル展
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┃連載
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◇子供と美術 15
◆やっつけメーキング 32 カブトムシをやっつける
◇モダン日本グラフィック 3 山名文夫(その1)


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