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美術手帖 2008年2月号

誌名: 美術手帖 2008年2月号

創刊: 美術出版社
発売日: 2008年01月17日

価格: 1,600円

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雑誌紹介

資料性の高いヴィジュアル・マガジンとして海外からも熱い注目を浴びている。1948年の創刊以来、たえずアートシーンをリードしつづけるオピニオン雑誌。


概要

◆○
○◆ 特集 展覧会のつくりかた 〜アーティストの基礎知識〜
アーティストとして人々から認知されるためには、作品を制作することはもち
ろん、それを世の中に「発表」していかなければならない。この「発表」する
ためのもっともポピュラーな方法として展覧会という形がある。作品を制作し、
展示空間に設置すれば展覧会はできあがるが、そんな単純な流れだけで終わら
ないのが展覧会だ。本特集では、まず二人のアーティスト、森村泰昌と川俣正
に「展覧会とは何か」を問う。続いてパート1として、個展を開くために欠かせ
ないプロセスを徹底解説。パート2では、ギャラリーや美術館を飛び出して、ア
ーティストが自ら場を開拓していく方法を紹介する。どんな場所でいかに見せ
るのか、展覧会を開く道のりをたどりながら、その可能性を探っていこう。
〜*〜*〜 目次 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
1 インタビュー 森村泰昌&川俣正
2 個展を開く
01.会場選定
02.宣伝活動
03.搬入
04.展示
05.会期中の所作
06.撤収
大巻伸嗣
鈴木理策
青木野枝
田中功起
岩永忠すけ

3 場所を開拓しよう
サスティナブル・アートプロジェクト 保科豊巳
家を持ち替える 利部志穂
stay with art 松尾惠
4 Gallery Stump Kamakura
5 インタビュー 北川フラム
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┃1 インタビュー 森村泰昌&川俣正
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森村さん、川俣さん、展覧会とは何ですか?
森村泰昌“「美術力」を引き出す展覧会こそ、アーティストの真骨頂なので
す。”
川俣正“展覧会とは通路です”
常に意表をつく展示で、観るものに「やられた!」と思わせる森村泰昌。展覧
会に対するその意気込みを聞くつもりが、冒頭から「展覧会はどうでもいいん
です」という驚きの言葉が発せられた。
ある時は都市の廃墟で、またある時は路上や川縁で、パブリックな場と状況に
介入して空間を異化する、サイトスペシフィックなインスタレーションを実現
してきた川俣正。2月9日から、美術館を舞台に「通路」というキーワードを通
して30年間の仕事を振り返る個展を開催する。
個性的な展示で観る者の精神を刺激する2人のアーティストに「展覧会とは何か」
を聞いてみた。
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┃2 個展を開く
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個展とは、アーティストとしての責任を背負うための決意表明
アーティストになるための王道は、常にアートを考え、創り続けることしかな
い。続けるために必要なものはモチベーション。モチベーションの維持に不可
欠なのは、甘い餌や目先の利益等、単純なメリットではなく、モチベーション
を切らすことに痛惜の念を産ませるような、決して軽くない「責任」の二文字
ではないだろうか。つまり、アーティストを志す者にとって、個展とは、アー
ティストとしての責任を背負うための決意表明であり、作品の前に立つ他者に
対して、これから漕ぎ出す社会に対して、責任を自覚するための儀式なのであ
る。(川崎昌平)
01.会場選定
02.宣伝活動
03.搬入
04.展示
05.会期中の所作
06.撤収
CASE STUDIES 〜 2007年の美術館やギャラリーでの展覧会より、5つのケース
をピックアップ
大巻伸嗣
“大型作品では、他者との共同作業が必要。ヴィジョンに対する意識を合
わせ、作業とその意図を明確に伝えることが大切です”
鈴木理策
“作品が見やすい流れと空間づくりを心がけ、思いついたアイデアはとに
かく実際に試してみることです”
青木野枝
“自分のレベルを自分で決めずに、まず発表すること。作品を社会にさら
す経験を、どんどん積んでいくべきです”
田中功起
“イメージと現実空間にはズレがあるので、設営に入るまではプランを決
め込みすぎず、現場で組み上げていきます”
岩永忠すけ
“ひたすら丁寧に空間を見る。一方向から視界に入る以外の要素も考慮し
て、作品を配置していくうちに、数ミリの歪みによって空間全体に動き
が出てきます”
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┃3 場所を開拓しよう
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美術館やギャラリーだけじゃない、展示の在り方を探る
美術館やギャラリーから一歩外の出るとき、そこには何が待っているのだろう。
空き家、ホテル、学校、工場、駅、路上……。
「アートのために用意された空間」以外で展示を行うには、その場特有の課題
に向かい合わなければならない。例えば、地域の人々との交渉であったり、会
場を使用するための規制であったり、数多くのプロセスを踏む必要に迫られる。
けれども、こうした課題に直面すること、言葉やビジュアルで自身の考えを他
者に伝えていくことは、表現のコンセプトをより強固なものに、より先鋭的な
ものにする、ひとつのきっかけになりはしないだろうか。ここでは、アーティ
スト自らが場を開拓するとき、そこで立ち現れる課題を、さまざまなケースか
ら見ていこう。
あらゆる場が展示空間になる
汚水処理場/空き地/ゴミ焼却場/銀行/空きビル/競馬場/公共施設/
都市全域
会場選びのポイントは?資金調達方法は?自ら場を開拓し、開催までこぎ着け
るために、必要なことはいったい何?アートプロジェクトにまつわる、そんな
素朴な疑問を一挙解決!?
Q プロジェクトを実施するには、どんな場所がふさわしい?
Q 場所を借りるための手続きとは?
Q やっぱり、都会じゃないと無理?地方は不利?
Q どんなトラブルや苦情がありえる?
Q 地域の人たちを巻き込むには、どうすればいい?
Q ひとりで行う?それとも組織をつくったほうがいい?
Q NPO法人に認可されると、なにがトクなの?
Q ぼくらの活動を『美術手帖』で紹介してください!
Q 助成金を調達するには、どうすればいい?
Q できるだけ長く活動を続けていくための方法とは?
CASE STUDIES 〜 3つのプロジェクトから、場の特殊性と関わる意味を知る
『サスティナブル・アートプロジェクト』
美術館を飛び出した展覧会、ここから何が生まれるのか 〜洋館/小学校
/駅/古民家
『家を持ち替える』
解体現場で行われた「利部志穂 彫刻展」 〜自宅
『stay with art』
宿泊する場にアートが浸入! 〜ホテル
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┃4 Gallery Stump Kamakura
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アーティストが目指す、オルタナティヴの「場」
2006年の春、古くから文化人に愛され、豊かな自然の残る鎌倉のとある一軒家
に、アーティストが運営するギャラリーがオープンした。メンバーは鎌倉周辺
を拠点に活動する、まだ20代前半の大学生から、10年以上のキャリアをもつア
ーティストまで計9名。ギャラリー名は「Gallery Stump Kamakura」。アーティ
ストが運営するギャラリーとはいったいどのようなものなのだろう。「オルタ
ナティヴ」という言葉にその答えがある。
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┃5 インタビュー 北川フラム
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“現代美術のフランチャイズを増やしたい。展覧会はそのひとつの方法です”
アートフロントギャラリーの代表にして、越後妻有アートトリエンナーレ「大
地の芸術祭」総合ディレクターとして東奔西走する北川フラム氏。ほかにも新
潟市美術館館長、地中美術館ディレィター、女子美術大学教授など数々の顔を
もつ。そこでここでは、アーティストではないけれどアーティスト以上にアー
ティスティックな北川さんにご登場願い、「展覧会のつくりかた」をご教授い
ただいた。表も裏も知りつくした北川さんのこと、アーティストをはじめ読者
にとって学ぶところは多いはず。


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